『ワーキングメモリと教育』(湯澤正通・湯澤美紀編著)に、
言語的短期記憶とワーキングメモリが共に小さい小学三年生のA児
言語的短期記憶は年齢相応であるがワーキングメモリが小さい小学四年生のB児
の二名を対象とした語彙学習支援を行いその効果を検討した記述があります。
結論としては『語彙の定着には、子どもの認知的特性や学習経験に応じた複数の支援技術の活用が必要となる』とまとめられており、具体的には、「音のイメージ化」を促す語彙学習を行った、とあります。
「りゅうぼく」を例に挙げ、意味的なイメージを定着させるために、視覚的に理解しやすい場面を表した文をプリント上に提示し、「橋に(りゅ○○○)がひっかかった」(ヒント:流れてきた木)のように学習する単語は伏字で示され、こたえは支援者から音声で伝えることで、子どもは語頭の文字と単語の意味とをヒントにしながら単語を学習したようです。
中略しますが、1年後、2年4か月後の再テスト時においても「音のイメージ化」を通して言語的短期記憶の小ささを長期記憶で補うことができたようです。
「書いて覚えなさい」というだけのアプローチでは限界があることをあらためて思い知らされました。