242.IQテストの最初の理念
『1905年、フランスの心理学者アルフレッド・ビネーとテオドール・シモンは、小学校において特別支援が必要な子どもたちを特定するための知能テストを開発しました。いろいろなことのできが早い子もいれば遅い子もいます。彼らが開発したテストは、あくまでその中でも特別な支援を必要とする子を割り出すために作られたものであり、子どもの優劣の順番をつけるために作られたわけではありませんでした。
これぐらいの年齢であればこれくらいができるというような、年齢に応じた認知タスクを、年齢に基づく期待される成績との比較、いわゆる精神年齢で子どもの知能を評価したにすぎません。
このようにIQテストの最初の理念は、困っている子どもを助けるためでした。ビネーも「自分の開発したテストが、人間に優劣をつけるものにならないように願っている」と語っていましたが、残念なことに彼の死後、その懸念は現実のものとなってしまいました。』
(『「頭がいい」とはどういうことか』毛内拡 著)
その後、IQテストは様々な改良がなされはいますが、学業成績や職業上の成功と比較的高い相関があるとされていることから当初の理念としての活用シーンは少ないのが現状です。
このようにしてみると、現在私たちが取り組んでいるワーキングメモリのアセスメントHUCRoW(フクロウ)は、特別支援が必要な子どものみならず、客観的に子どもの「学びの個性」を測定する数少ないアセスメントであると認識を新たにしました。一人ひとり異なる学びの個性を測り、日々の生月や学習に活かしていただくという理念から離れることないよう、今後も向き合ってまいります。
<引用・参照>
『「頭がいい」とはどういうことか』毛内拡 著
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