235.認知能力の土台となる非認知能力

仮に能力が同じ子どもがいるとして、持っている能力を活かせる子と活かせない子がいます。

知能が高いのに学力がそれほど高くない子のことを「アンダーアチーバー」といいます。反対に、知能はそれほど高くないのに学力が高い子のことを「オーバーアチーバー」といいます。勉強ができるかどうかは知能の問題だと思われがちですが、アンダーアチーバーやオーバーアチーバーがいること自体、知能が学業成績に結び付いているわけではないことを示しています。

では、冒頭の「持っている能力を活かせる子」は、なぜその能力を活かしているのでしょうか。そのキーワードが「非認知能力」です。自分をやる気にさせる力や忍耐強く物事に取り組む力、集中力、自分の感情をコントロールする力など、学力のような知的能力に直接含まれない能力のことです。遊びや家庭の躾を通して集中力、我慢する力などを身につけます。

知的能力が高くても、やる気や忍耐力がなければ学力は向上しません。我慢する力、衝動をコントロールすることができるかどうかで成績に大きな差がつきます。これは勉強する際の頭の使い方そのものではないのですが、勉強ができるようになるかどうかに大きく影響する要因です。

このように、非認知能力が認知能力の土台となるのです。「認知能力」と「非認知能力」は「非」という文字があるために対立する能力のように字面では見えますが、実はそうではありません。因みに、「非認知能力」として挙げられている力は、脳の前頭前野が担っており、ワーキングメモリ―が重要なカギを握っています。

もうひとつのキーワードとなる「メタ認知」については別の機会に記します。

<引用・参照>
『勉強ができる子は何が違うのか』(榎本博明著 ちくまプライマリー新書)


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