247.ワーキングメモリにかかる負荷①
ワーキングメモリは作業・処理するために情報を一時的に記憶する機能です。「作業・処理するために」という点がポイントです。一時的に記憶するだけではなく、何かしらの作業や処理が伴います。必要な時にその情報を取り出すこともワーキングメモリの働きですので、学習においてはとても大切な機能です。
しかし、ワーキングメモリに保存できる量は限られています。認知科学では、ワーキングメモリにかかる負荷を「認知負荷」と呼びます。認知負荷がかかりすぎると、それがネックになり情報処理が追いつかなくなります。
「認知負荷」には「課題内在性負荷」と「課題外在性負荷」があります。「課題内在性負荷」とは「今、取り組もうとしている本丸の課題」そのものを解決するうえでかかる負荷です。例えば、「先生の指示のとおりに課題に取り組む」際に、先生が口頭で次の指示を出すシーンをイメージしてください。
「●●ページの『〇〇の値』を求めて、表に書き入れましょう。」
『〇〇の値』を求めて、表に書き入れることに直接関係する負荷が課題内在性負荷です。解き方を知っている生徒やよくできる生徒は難なく取り組むことができるでしょう。しかし、いま教育現場で多くの先生方が共通して生徒に感じているのは「課題外在性負荷」なのです。次回はこの「課題外在性負荷」についてご紹介します。
<参照・一部引用>『シン読解力』(新井紀子著 東洋経済新報社)
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