223.幼児期に聞く言葉の数が、将来の学力の差を生む

脳の発達がほぼ完了する3歳までに言葉を聞かずに育った子どもは、言葉の習得が遅いだけでなく、生涯にわたって他者とコミュニケーションをうまくとれないことが多いようです。「3,000万語の格差」とは1990年代に社会学者のベティ・ハートとトッド・リズリーによって行われた研究で「幼児期に聞く言葉の数が、将来の学力の差を生む」というものです。

ハートとリズリーは異なる社会経済レベルにある家族の子どもとその親を調査しました。社会経済レベルの高い家庭では、子どもが3歳になるまでに平均4,500万語の言葉を聞くのに対して、生活保護を受けている貧困家庭では平均1,300万語の言葉しか聞きませんでした。約3,000万語もの語数の差があったのです。

また、3歳時点での子どもの語彙数を調べたところ高い社会経済レベルの子どもが平均1,116語を話すのに対して、貧困家庭の子どもは平均525語しか話しませんでした。さらに9歳時点の言語レベルや学校のテストの点数と相関していたこともわかりました。

親の経済格差がどうであれ「言葉の発達が子どもの脳の発達を促す」ということを大人が知り子どもと接することが大切です。子どもが小さい時期から頻繁に話しかけ、声をかけながら一緒に遊び、毎日のように本を読み聞かせるなど、親の意識と努力の差が3,000万語の格差を生んでいるのです。

耳で言葉のシャワーを浴びることがより充実した学びにつながると私たちは考えており、幼稚園児のみならず小学生から高校生まで一貫した言語性に働きかけるトレーニングを提供しています。家庭だけでなく子どもと関わる大人が一体となって、子どもの豊かな言語発達を促していきたいものです。


<引用・参照>「非認知能力」の育て方(ボーク重子著 小学館)

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