191.計算が苦手な理由②

当社のスタッフであり、真栄喜そろばん教室を運営している真栄喜貴弘さんがオンラインセミナー「Edu Semi」で講演した内容や、一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会理事の野瀨さんのnoteの記事をもとに構成をします。

まず、計算が苦手なこどもの特徴として以下の3点が挙げられます。

①「数の概念」の理解が不十分であること
②筆算が苦手であること
③計算練習自体が少ないこと

②の「筆算が苦手」は、繰り上がりのある計算を例に解説します。繰り上がりのある筆算をする場合、一般的には下の位から計算します。

 23
+48

つまり、一の位の計算は3+8=11なので、23の2の上に繰り上がりの「1」書き、1+2+4で=7。結果「71」という答えを導きます。下の位から計算することで繰り上がりを明確にするので、間違いを防ぐためには良い計算方法です。しかしながら、この手順に違和感を感じ、筆算に苦手意識を持つ子どもがいます。(正しい筆算の計算方法を否定しているわけではありません)

そろばんの世界では算盤でも暗算でも上の桁から計算をしますが、そろばんを習っていなくても上の位から計算するほうがしっくりくる子どもたちがいるのです。

上の桁から計算する場合、十の位を計算して「ろくじゅう」と思い浮かべつつ、一の位を計算して繰り上がりに気づいたら「ななじゅう」と情報を更新して、最終的に「ななじゅういち」と答えればいいのです。

例えば日常生活で2桁同士の足し算が必要になったとき、そこに常に紙と鉛筆があるわけではありません。「筆算を紙に書かないと計算できない」は困ります。2つの数字を上の数字から計算することは、受け入れた情報を順に処理するので、情報処理の手順としては違和感がありません。このことは日本語の言語処理の習慣に基づく思考パターンが影響していると、柴田勝征氏の著書「算数教育と世界歴史言語学: 小学校算数教育・福岡県の奇跡とヨーロッパ人の2000年間にわたる認知vs言語の脳」で述べられています。

十の位同士の計算結果を保持しつつ(短期記憶)、一の位同士の計算した結果を重ね合わせて答えること。筆算が苦手なこどもにぜひそのような計算練習をしてみてください。いつもの筆算より少しだけワーキングメモリを使いますが、楽しく取り組んでくれるかもしれません。(ワーキングメモリのトレーニングにもなります)

<参照・引用>
一般社団法人ワーキングメモリ養育推進協会理事 野瀨さんのnote
簡単なたし算や、数を数えるのが苦手なのはなぜ? 【弱みを対策できた親子のケース②】
全国珠算教育連盟(全珠連)福岡県支部 真栄喜貴弘さん(真栄喜そろばん教室運営)のEduSemi登壇資料


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