142.立って勉強をすると脳が効率よく働く

「野比くん、廊下に立ってなさーい!」と先生に叱られて、のび太が廊下で立たされているシーンは私たちの脳裏に刻まれています。さすがにいまではこのようなシーンは教育の現場から消えたようですが、少し前までは普通に行われていました。

さて、ベストセラーになっている『運動脳』(アンデシュ・ハンセン著・サンマーク出版)には、「立って勉強をすると脳が効率よく働く」と書かれた箇所があります。

それによると、ある研究チームが7年生を対象に、認知機能を測る各種のテストによって子どもの学力調査を行ったところ、立ち机を使うとテストの結果が平均で10%も上がったというのです。

因みにこの認知機能を測るテストは、読解力や記憶力、段階を経て問題を解決する力など学力にそのまま反映する能力を調べることができるようで、集中力やワーキングメモリ、認知制御などの能力が増したようです。

さらに、科学者たちは脳をMRIでスキャンしたところ、立って授業を受けた子どもたちの前頭葉が活性化していたことも判明しました。前頭葉はワーキングメモリや集中力に重要な部位です。

立って授業を受けた子どもは集中力が増し、勉強の内容も頭に入りやすくなります

2年程前に、ある著名な方とお仕事でご一緒した際に、その方はzoomの画面の先で、立って会議に参加されていました。立っている時の方がエネルギーの消費量も増えるということはもちろんですが、先に示したエビデンスと併せて私たち大人にも有効であるようです。

のび太君は、廊下でなく、教室の後ろに立って授業に参加していればもっと賢くなっていたかもしれませんね。このことを生かして、立って学ぶスタイルの学習塾が登場してくるのではないでしょうか。

#教育コラム142