231.記憶力を高める
記憶を司る脳の「海馬」は、何度も何度も繰り返し刺激を加えることで増強されます。繰り返すことで海馬の神経細胞同士の結びつきが強くなり、結合度が増強され、長期的に神経細胞が活性化されることが分かっています。
これは日本語で「長期増強」、英語ではLTP( Long Time Potentiation )と呼ばれています。学習において「復習」が大切だと言われているのは、何度も繰り返すことが記憶の定着につながるからです。
因みに、「シータ波」と呼ばれる脳波が現れている時、海馬ではLTPが起こります。「シータ波」をうまく使うことで、繰り返す回数を少なく、効率的にLTPを増強させることができるのです。
ではこの「シータ波」はどのような時に現れるのでしょうか。
それは、はじめてのものに出会ったり、未知の場所に来るとき、ワクワクしたり、ドキドキしたりして好奇心が強く外に向かっている状態のときに現れます。「シータ波」は好奇心の象徴と言われています。
興味を持っていることは復習回数が少なくても覚えられるのは、「シータ波」によりLTPが起こりやすくなっているからなのです。私たちが学習をする時に興味や関心の高さが記憶に影響を与えることが分かります。反対に、飽きたりマンネリ化したりして興味が薄れるとシータ波は消えてしまいます。
何事も興味や関心を持つことが学習や記憶のもとになります。「つまらない」と思って嫌々勉強に取り組むことは復習の回数が余分にかかるため、時間の無駄ということができます。いかに興味を持つか、ということが学習の始まりなのです。
<引用・参照>
『16歳からの勉強法』(池谷裕二著 東進ブックス)
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