224.脳に整理整頓の時間を与える
睡眠と記憶の関係について、興味深い実験があります。語学の勉強をした後にテストを行い、勉強前に比べてどれだけ点数が上がるかを調べた実験です。
勉強をすればテストの点数が上がることは容易に想像がつきますが、勉強の後にいつものように睡眠を取り、翌朝にもう一度テストを受けると、翌朝の方がさらに成績が上昇することが分かったのです。
このことから、知識を脳に詰め込むだけでは使い物にならず、知識が乱雑に蓄えられているだけだということがわかります。蓄えた知識を整理整頓して「使える」状態に変えることが睡眠の役割の一つであり、寝ることによって知識の質が変わるのです。寝ることで記憶が定着する効果は昼寝でも現れます。また、「ひらめき」も同様に、問題に目を通してから睡眠を取ることで翌朝にひらめく確率が高いことがわかっています。
睡眠の役割の一つをご紹介しましたが、睡眠だけが記憶の整理整頓に役立つのではありません。脳への情報を絶って、脳に整理整頓の時間を与えることが記憶の整理整頓に役立ちます。つまり、起きていても、静かな部屋で目を閉じているだけでも海馬で情報の再生が始まるのです。脳をそっとひとりにしてあげる時間を取れるかどうかがカギとなりそうですね。
<引用・参照>受験脳の作り方(池谷裕二 新潮文庫)
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