222.「活用する」勉強法が効率的

単語の記憶テストを例に、「詰込み型」の勉強法より「知識活用型」の勉強法の方が効率的であることをご紹介します。

学習法により4つのグループに分けた、スワヒリ語40語の単語テストの例です。どのグループも40個の単語リストを一通り学習します。

グループ①は、1回目で満点が取れなかったら、40個のリストを全部見直して、2回目に40個のテストに臨みます。2回目で満点が取れなかったら、40個を見直して、3回目に40個のテストをします。

グループ②は、1回目で満点が取れなかったら、間違えたところだけを見直して、2回目に40個のテストに挑みます。満点が取れなかったら、間違えたところだけを見直して、3回目に40個のテストをします。

グループ③は、1回目で満点が取れなかったら、40個のリストを全部見直して、2回目は間違えたところだけをテストします。2回目で間違えたら、40個のリストを全部見直して、2回目で間違えたところだけをテストします。

グループ④は、1回目で満点が取れなかったら、間違えたところだけを見直して、間違えたところだけをテストします。間違いがゼロになるまで繰り返します。

さて、結果ですが、この4つのグループ間の差はなく、覚えるまでの繰り返し回数はどのグループも同じだったのです。しかし、一週間後に同じテストをすると点数に大きな差が出ました。グループ①とグループ②の正答率は約80%、グループ③とグループ④は約35%となり、2倍以上の成績差が出たのです。

このことから、脳は繰り返し入ってくる情報が記憶されやすいというだけではなく、使用する機会が多い方が記憶されやすいということがわかります。グループ①とグループ②は毎回40個のテストを行っています。「この情報はこれほど使用する機会が多いのか。ならば覚えておかなければ」と脳が判断するのです。

学校や塾などではグループ④の学習法が多く取り入れられています。そこで、自宅学習ではグループ①や②のように全ての問題をテストするという学習法を取り入れることで、より効率的に記憶の定着を図ることができるでしょう。


<引用>
受験脳の作り方(池谷裕二 著 新潮文庫)

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