188.見学から学ぶこと

一般的にこどもの習い事の世界では一定期間の取り組みの成果を「発表会」「大会」「試合」「テスト」といった場で、関わる大人が称える機会があります。そこには当落がある場合もありますが、日ごろの努力を称える機会であるといえます。参加するこどもにとっては緊張との戦いの場でもありますが、経験や体験として大きな財産となるでしょう。

一方、人前での発表等が苦手なこどももいます。苦手がゆえにその習い事自体を選べない場合もあります。そこで、ひとつの提案として「見学」を通して楽しむというのはいかがでしょうか。見学ではその場に臨む人たちの空気を体験することができます。

「あの人はなぜあの場面で〇〇したのだろうか?」「どんな気持ちだったのだろうか?」など思いを巡らせると良いでしょう。そのような想像を楽しみながらも、できるなら、見学した後に参加者にその時の心理状態や作戦を尋ねてみるのです。こうしたインタビューを通して、たとえ発表や試合に参加していなくても経験や体験という財産が残るはずです。

心理学ではモデリング(観察学習)という概念があります。一例として、憧れの先輩が試合で取り組む様子を見て今後の自身に置き換えて想像することなど、見学だけでも多くの学びがあることでしょう。

スポーツ観戦が好きな人たちは思い思いに試合を楽しんでおり、さらに観戦を楽しむひとつにテレビ、ラジオ、インターネットでは「解説」があります。一昔前と異なり、いまはデータや選手の状況に関する情報が溢れていますので、視聴者としての想像と答え合わせを同時に楽しむことができます。「解説」はその道のプロがおこなっています。私たちには想像が及ばない選手の心理状況等が分かりやすく解説され、そのスポーツの醍醐味を深く知ることができます。

発表や試合が苦手なこどもは見学を通して参加者の心理を予測するなど、その場を楽しむことから始めてはいかがでしょうか。


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