155.読解力のトラックマン

国別の野球世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック ( 英語: World Baseball Classic 、略称: WBC )がいよいよ始まります。注目を集めているダルビッシュ投手は、練習において常にマシンを同行させており、投球練習の際に、一球投じるとすぐにそのマシン「トラックマン」を見ています。このトラックマンには、「球数」「回転数(回転速度)」「ボールの変化の大きさ」「ホームベース到着時のボールの位置」の各データが即時表示されています。自身の投球を数字化により分析する取り組みです。本人の持つ身体能力を最大限生かす激しいトレーニングに加えて、「科学」を取り入れて練習の精度を高めています。

私たちは、生徒の「語彙力・読解力」を高めるレッスンにおいて、Webトレーニングによる「読解力のデータ」に基づく指導もしています。測定の指標には「読む速度」「正答数(率)」「本文と問いの往来数」を設定していますので、まさに「読解力のトラックマン」と言えるものです。



仮に、図の「例」と書かれた箇所が現在の生徒の位置とすると、3か月後の目標を矢印の先にある「★」と生徒に伝えます。「読む速度は遅くなっても(1分間に800文字のスピード)良いから、正確に(1回で)読み取るようにしよう」と具体的に、数字で伝えることができます。3か月後は、同様に矢印の先にある「★」に向けて進めていくことができれば、半年くらいかけて理想的な読み方ができるようになります。

理想的に、直線的に、設定した目標に向けて進むことはめったにないのですが、上記の指導をするか否かで生徒の「学習の質」は格段に変わるでしょう。こどもたちがより良いパフォーマンスを発揮できるよう、ダルビッシュ投手に倣い、大人も科学的手法を取り入れていくことが必要ではないでしょうか。

#教育コラム155