140.助走に「音読」と「計算」を

川島隆太先生の研究をご紹介します。小学生を対象にして、2分間の「音読」や「計算ドリル」の終了後に、提示した単語を2分間で何語記憶できるかをテストしました。

その結果、小学生は次の語数を記憶しました。

・計算後には平均9.8語
・音読後には平均10.1語

因みに、「音読」や「計算」をしなかった生徒群は、平均8.3語しか記憶できなかったようです。

つまり、「音読」や「計算」により、その後の記憶・学習活動が大いに促進される効果があるということが明らかになっています。これは「音読」や「計算」が大脳の広範囲にわたる活性化を生み出すという研究に基づいており、子どもの教育に携わる者にとってはいま一度知っておくべき事実です。

また、川島先生は同様のことを認知症患者に対して行った結果についても公表しています。この研究により、音読や書字などの国語と算数の学習を続けることが、認知症の進行を抑えたり、またさらに改善したりする働きがあることを示しました。

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「生涯教育」や「リカレント教育」といったキーワードが普及する昨今において、脳科学の研究により明らかになってきたこれらの知見を活かして学びの環境を整えていくことは健康長寿社会の実現に向けた取り組みの一助になるのではないでしょうか。


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