22.フォントで変わる「読む力」

大手フォントメーカーの株式会社モリサワによると、同社の「UDデジタル教科書体」のフォントを使って学習効果を測定したところ、こどもの読みの速度が約9%改善されたそうです。

以前の教科書体は毛筆の楷書体に近い字形で、線には細いところ、太いところがあり、細くなっているところが見えにくいという声が寄せられていたようです。そこで、「UDデジタル教科書体」はゴシック体のように、線を一定の太さに保ちながらも、運筆の方向が分かる形状にするという工夫がなされました。また、明朝体は横線の右端のところに三角形の「うろこ」と呼ばれる飾りがあり、教科書体は毛筆でグッとおさえたような形状があるため、「UDデジタル教科書体」ではシンプルな形状にしたようです。

発達障害のある人の中には視覚過敏がある人もいて、

・「ハネやハライの先端など文字のとがっているところが自分に迫ってくる感じがする」

・「明朝体のうろこや教科書体の筆の入りの形状に目がいってしまって、文字として読めない」

といった理由から、教科書体や明朝体を苦手としていることもあるようです。

奈良県生駒市の取り組みのように、フォントの有効性が示されている例もありますので、こどもの教育に関わる私たちがこどもの学習環境の一つに「フォント」への配慮を持っておくことは大切なことです。

#教育コラム22