12.語彙量の少ない子どもへの語彙学習支援

『ワーキングメモリと教育』(湯澤正通・湯澤美紀編著)には、次の2名を対象とした語彙学習支援を行い、その効果を検証した事例が紹介されています。

・言語的短期記憶とワーキングメモリが共に小さい小学三年生のA児
・言語的短期記憶は年齢相応であるがワーキングメモリが小さい小学四年生のB児

結論としては『語彙の定着には、子どもの認知的特性や学習経験に応じた複数の支援技術の活用が必要となる』とまとめられています。

具体的には、「音のイメージ化」を促す語彙学習を行った、とあります。
「りゅうぼく」を例に挙げると、意味的なイメージを定着させるために、視覚的に理解しやすい「場面を表した文」をプリント上に提示し、「橋に(りゅ○○○)がひっかかった」(ヒント:流れてきた木)のように、学習する単語は伏字で示され、こたえは支援者から音声で伝えることで、子どもは語頭の文字と単語の意味とをヒントにしながら単語を学習したようです。

1年後、2年4か月後の再テスト時においても「音のイメージ化」を通して言語的短期記憶の小ささを長期記憶で補うことができたようです。

何度も「書いて覚えなさい」という、作業を強いるだけの学び方には限界があることをあらためて思い知らされました。

#教育コラム12

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